2018年03月18日

旧優生保護法強制不妊手術損害賠償訴訟 その2

 旧優生保護法下で障害者らへの不妊手術が繰り返された問題で、旧厚生省が1949年、京都府に対し、旧法や関連通知が認めていない放射線照射による措置を学術研究目的で許可していたことが13日、分かった。京都府立京都学・歴彩館に残る府の公文書で判明。府に問い合わせた京大が実際に照射による優生手術を行ったかは不明だが、当時から健康被害の恐れは指摘されており、識者は「法が認めていない術式を国が許可したのは問題」としている。

 旧法は28条で「故なく生殖を不能にすることを目的としてレントゲン照射を行ってはならない」と規定。施行規則は精管や卵管を結んだり切断したりする方法での実施を定めており、国は49年通知でも「放射線照射による方法は一切これを認めない」と明記している。

 歴彩館が開示した放射線照射に関する文書は49年のもの。同年11月24日に決裁の京都府の文書には、規定以外の術式である放射線照射を学術研究のために行いたいと京大医学部から問い合わせがあったとし、厚生省に「学術研究の特殊の場合として認めてよろしいか。疑義あり指示願いたい」と問い合わせている。

 これに対し、12月12日付の厚生省公衆衛生局長名の文書は「レントゲン照射は28条の規定により禁止されているが、大学医学部等で学術研究を目的に行うことは差し支えないと認められる」と回答。その後、府は京大医学部長宛てに同省の見解を伝えた。

 実際に照射による優生手術を実施したかどうかについて京大は取材に「資料がなく確認できない」と回答。厚生労働省母子保健課は、当時の見解に関して現時点では原本が手元になく内容を把握していないとした。

 東大大学院の市野川容孝教授(医療社会学)は「目的が学術研究にあったとしても、規定外の術式を国が許可したのは大きな問題」と指摘。「こうした対応を見ると、法の範囲を超えた術式での優生手術が広く行われていた可能性も否定できない。実際に放射線照射が実施されていたとすれば、十分な情報が与えられず健康被害を受けた人もいたのではないか」としている。(山陽新聞、2018.3.14)


 「不良な子孫の出生防止」を目的とした旧優生保護法(1948〜96年)を巡る問題で、知的障害者らが、「男性への興味」や「結婚の話がある」などの理由に基づき、本人同意のないまま予防的な対応として不妊手術の対象とされていたことが15日、共同通信が入手した都道府県現存の資料で分かった。優生思想を掲げた旧法の下、医師らの一方的な見解によって障害者らの人権が踏みにじられていた実態が浮き彫りになっている。

 旧法は知的障害や精神疾患などがある人に関して、本人の同意がなくても医師が必要と判断すれば、都道府県に設置された優生保護審査会の審査を経て不妊手術の実施を認めていた。

 広島県立文書館が個人名を伏せる形で公表した資料によると、1962年、15歳の少女を知的障害と診断し、医師が「男性に興味を感ずる様であり、妊娠の可能性が強い」との理由で不妊手術を申請していた。健康診断書には「月経の始末も出来ない」と記載。県の審査会の決定書が「適」としていた。

 また知的障害とされた13歳少女は、「第二次性徴は成人並みに発達。痴漢の性欲の対象となる可能性が大」との理由で手術が申請されていた。

 福岡共同公文書館(福岡県) の保管資料では、80年当時、知的障害があるとされた19歳少女の申請書に、医師が「色情強く、いつ行動に移るか分からない」と記載。診断書には「貞操感がない」とも書かれていた。

 一方、60年代に東京都立松沢病院に勤務していた精神科医のOさん(86)は、東京都優生保護審査会に提出された書類を保有。22歳の女性を対象とする50年の「優生手術申請書」は、「精神分裂病」とした上で「具体的に結婚話が進行しつつある。そのため優生手術を受ける必要がある」と医師が記していた。

 手術が必要な理由として親族に精神疾患があることも挙げていたが、女性の病状を「軽快状態」「家庭生活に耐える能力があると思われる」とも記載。Oさんは「法律自体も問題だが、運用もいいかげんだった」としている。

 旧法下で不妊手術を施された障害者らは約2万5千人でうち約1万6500人は強制とされる。共同通信のまとめでは、現存が確認された個人名記載資料は岡山、広島、香川を合む27道府県の3661人分にとどまる。(山陽新聞、2018.3.16、元の記事は実名)
posted by リュウノスケ at 18:18| Comment(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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