2018年02月21日

厚生労働省裁量労働制データ捏造問題 その1

 働いた時間に関係なく賃金が支払われる「裁量労働制」をめぐり、厚生労働省は19日、一般労働者と裁量制で働く人の労働時間を異なる条件で比較し、裁量労働制の方が短いとする不適切なデータを作成していたと公表した。今国会に提出予定の「働き方改革関連法案」には裁量労働制の対象拡大が盛り込まれており、データは裁量労働制の効果を示す根拠として安倍晋三首相の答弁にも引用(後に撤回)された。法案審議に影響が出るのは必至だ。

 厚労省によると、データの根拠になったのは「平成25年度労働時間等総合実態調査」。厚労省はこれを元に、裁量労働制の労働時間(1日平均9時間16分)は一般労働者(同9時間37分)より短いとする比較データを作成した。

 しかし、調査は一般労働者に「1カ月で最も長く働いた日の残業時間」を尋ねたのに対し、裁量制では1日の平均的な労働時間を聞いており、比較には不適切だった。さらに、一般労働者の残業時間に法定労働時間の8時間を加えたものを「労働時間」としていたほか、1日の残業が「45時間」などと誤って記された例が少なくとも3件あったのに、それらも加えて平均を算出していた。

 比較データは27年3月の民主党(当時)の厚生労働部門会議に初めて示され、その後も塩崎恭久前厚労相や今年1月の安倍首相の国会答弁で使われた。野党から指摘を受け、厚労省は今月7日、加藤勝信厚労相に「調査の方法や定義が不明確」と報告したという。

 厚労省は「意図的に数字を作ったわけではない。異なる方法で選んだ数値という認識がないまま比較した」と釈明。同日午前の衆院予算委員会理事会に調査結果を報告し謝罪したが、野党側が反発し、質疑は一時中断した。

 菅義偉官房長官は記者会見で「極めて不適切だった」と述べ、加藤氏も午後の予算委で謝罪。ただ、菅氏は働き方改革関連法案について「労働者にとっても極めて重要な改革。実現に向け全力で取り組む」と強調し、今国会での成立を目指す考えを強調した。

 ◇

 裁量労働制 実際に働いた時間に関係なく、あらかじめ定めた時間を働いたとみなし、賃金を支給する制度。仕事の進め方が労働者の裁量に大きく委ねられる職種が対象で、弁護士や新聞記者などの「専門業務型」と、企画や調査などを担う事務系の「企画業務型」の2類型がある。労働者が主体的に業務の遂行手段や時間配分を決定できるとされるが、深夜や休日に働いた場合以外には割増賃金が支払われない。政府は多様で柔軟な働き方につながると裁量制拡大を推進。労働組合は「長時間労働につながる」と反対している。(産経新聞、2018.2.19)
posted by リュウノスケ at 22:52| Comment(0) | ニュース(労働問題) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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