2014年11月27日

ファーガソン暴動

 8月に米中西部ミズーリ州ファーガソンで白人警官が黒人青年を射殺した事件に関し、セントルイス郡の大陪審は24日、警官を不起訴と決めた。人種差別だと反発する黒人住民の一部が暴徒化、地元警察は少なくとも61人を逮捕した。抗議活動はニューヨークやロサンゼルス、シカゴなど米主要都市に広がった。人種の溝が埋まらない米国社会の現状が改めて浮かび上がった形だ。

 オバマ米大統領は24日夜に緊急記者会見を開き、沈静化を呼びかけた。8月の事件発生以来、最悪の暴動となり、AP通信によると14人が負傷したが、死者はいない。首都ワシントンではホワイトハウスに向けて抗議活動が行われた。

 米メディアによると、ファーガソン市警察署周辺に集まった数百人が24日夜、警官不起訴を受けて抗議デモを展開。暴徒化した一部がビルに放火し、12棟から炎が上がった。パトカーは破壊され、商店は略奪、混乱は25日未明まで続いた。ニクソン州知事は17日に非常事態を宣言し、厳戒態勢を敷いていたが、深夜の街は無法状態に陥った。

 射殺されたマイケル・ブラウンさんの家族は24日の声明で大陪審の決定について、「深く失望した」と述べたうえで「暴力に暴力で応えるのは適切ではない」と沈静化を求めた。

 ミズーリ州は白人が多い地域だが、ファーガソンは人口の6割以上を黒人が占め、白人と黒人の対立が根深いことで知られる。起訴するかどうかを判断する大陪審はセントルイス郡全体の人口比を反映し、白人9人、黒人3人で審議したが、起訴に必要な9人の同意が得られなかった。

 オバマ大統領は射殺事件直後の8月、黒人のホルダー司法長官をファーガソンに派遣。初動段階で法務行政トップが現地に赴き、公正な捜査をアピールする異例の体制をとった。米連邦捜査局(FBI)も捜査員を現地に投入。白人警官が過剰な武器使用をした公民権法違反にあたるかどうか、大陪審とは別に捜査を続ける。ブラウンさんの家族が民事訴訟を起こす可能性もある。

 オバマ大統領は24日夜の記者会見で「(住民らの)怒りは理解できる」と述べたうえで「米国は法治国家だ。大陪審の決定を受け入れる必要がある」と自制を呼びかけた。ただ大統領として司法への介入は難しく、打てる手は限られる。

 混乱が長期化すれば、中間選挙の敗北で失われた大統領の求心力は一段と低下する。政権運営に影響も出かねず、難しい立場に追い込まれそうだ。(日本経済新聞、2014.11.25)


 米中西部ミズーリ州で丸腰の黒人青年を射殺した白人警察官が不起訴となったことをきっかけに24日発生した暴動は、米社会がいまだに根深い人種対立を抱えている現実をあらわにした。警察は抑え込みに全力を傾けるが、長期化も懸念される。

 バットで商店のガラスをたたき割り、次々と商品を持ち去る若者たち。警察隊が放った催涙ガスらしき白いもやがたちこめる中、パトカーの上で跳びはねる黒人の少年に向けて、至近距離から警官が銃を向けた。「まるで戦場だ」。米CNNテレビの記者が現場の同州ファーガソンからリポートした。

 不起訴の決定に先立ち、ニクソン州知事は早々に非常事態を宣言、州兵も展開。24日も記者会見で「寛容と自制」を呼び掛けた。しかし、住民側が強く反発し、暴徒化するのを防げなかった。

 米西部ロサンゼルスでは1992年、普段から差別されているという強い不満を募らせていた多くの黒人たちが参加して大規模な暴動が発生。50人以上が死亡、2000人以上が負傷した。

 黒人住民に対する警官の暴力が発覚し、それが処罰されないことで抗議が暴徒化する構図は、ファーガソンの暴動も全く同じだ。放火された建物や駐車中の車両から、夜空に向かって次々と立ち上がる大きな炎は、20年以上前に米社会が経験した悪夢をほうふつとさせた。

「すべての目撃証言、すべての証拠を念入りに調べた(結果だ)」

 大陪審に捜査資料を提供するミズーリ州セントルイス群検察トップのマクロク検事は24日、記者会見で強調した。大陪審の守秘義務は厳しいが、目撃者60人から聴取、監察医や銃の専門家から話を聞いたことなどを45分もかけて説明。青年を射殺した警察官ダレン・ウィルソン氏らの証言も公開するなど、住民の理解を得ようと、極めて異例の対応をした。

 それでも住民側は、最初からマクロク氏が担当にふさわしくないと主張。マクロク氏は幼少時、警官の父親を黒人に殺された経験があるためだ。「不起訴」のニュースが伝わると、暴動が一気に激化した。

 全米に広がった抗議行動は、中間選挙で敗北したオバマ政権にとって政治問題化する可能性もある。(ニューヨーク共同、山陽新聞、2014.11.26)
posted by リュウノスケ at 22:34| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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