2014年11月08日

羽生結弦閻涵と激突

 <フィギュアスケート:GPシリーズ第3戦・中国杯>◇8日◇上海
 ソチ冬季五輪金メダリストの羽生結弦(19=ANA)が、流血のアクシデントを乗り越え237・55点で2位に入った。

 転んでも、転んでも、立ち上がった。5度の尻もちをついた傷だらけの五輪王者は、やりきった表情で演技を終えた。アゴのテーピングを取り去ると、ふき出る血も、汗も一緒に首筋を流れ落ちた。

 まさかのアクシデントだった。フリー演技前の6分間練習で羽生は、閻涵(中国)と正面から激突。リンクにたたきつけられ、その場に倒れた。アゴ付近から流血し、鮮血が首筋にもくっきり浮かび上がった。

 10分間の治療を終え、頭とアゴにテーピングをして羽生は足元をふらつかせながら姿を見せた。

 演技に入ると、最初の4回転サルコーは豪快に尻もち。続く4回転トーループも尻もち。足元のふらつくプリンスの演技は、最後までたどり着くのかさえ、誰も予想できなかった。

 何度、リンクに打ちつけられても、立ち上がる羽生の姿は、逆にすごみを増した。後半の4回転ジャンプは、今大会、得点アップを狙って盛り込んだプログラムだった。疲れのピークを迎える後半の4回転−2回転の連続ジャンプを見事に決めた。狙い通りに得点を盛りかえした。

 演技後、最終演技者のコフトゥンを残し、暫定1位の表示が出た。何度も転倒したとあって、いい成績を残せるとは思っていなかったのだろう。羽生は、スコアを見た瞬間、両手で顔を覆い、声を出して泣いた。

 「オペラ座の怪人」の曲に乗せて演じた羽生は、まさに怪人(ファントム)級の気迫で会場を沈黙させた。転倒して、なお、羽生のメンタルの強さが際立つ“勲章つきの銀メダル”だった。

 結局、コフトゥン(ロシア)が243・34点で優勝、ドーンブッシュ(アメリカ)が226・73点で3位。羽生と激突した閻涵(中国)は206・65点で6位。田中刑事は189・26点で8位だった。(日刊スポーツ、2014.11.8)


羽生 結弦選手と中国人選手の閻涵が衝突 中国杯



羽生結弦アクシデント乗り越え出場 GP中国 フリー 2014



 羽生のガッツは大したものですし、テレ朝の中継でも完全に美談として扱っていましたが、故障するまで投げ続ける高校野球のエースやKO寸前でもファイティングポーズを取るプロボクサーのようにそれは痛々しいものでした。

 強行出場して高橋大輔並の大怪我をしたら取り返しが付きません。常人離れしたハートの強さがあるからこそ一流選手になれるとはいえ、やはり今後の競技人生を考えれば指導者が止めてほしいところでした。脳に影響がないことを祈ります。


 <羽生結弦、9日帰国とコーチ 頭と顎負傷、日本で検査>
 フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第3戦、中国杯で8日の演技前に中国選手と衝突した男子の羽生結弦(ANA)について、ブライアン・オーサー・コーチは9日のエキシビションを欠場して同日中に帰国すると明らかにした。日本で精密検査を受けるという。

 オーサー・コーチによると「大事なのは健康。自分を大切にしろ」とフリーの棄権を促したが本人の意志で滑った。頭と顎を負傷し、演技後に患部を縫ったという。

 羽生はGPシリーズ第6戦のNHK杯(28〜30日・大阪なみはやドーム)にエントリーしている。(共同通信、2014.11.9)


 <羽生が9日帰国=頭部などを精密検査−フィギュア男子>
 8日に上海で行われたフィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第3戦、中国杯のフリー直前の6分間練習で負傷した羽生結弦(ANA)について、同選手を指導するブライアン・オーサー・コーチは、羽生が9日に帰国して精密検査を受けることを明らかにした。

 羽生は直前練習で中国の閻涵と激突。一時氷上に横たわり、頭部から出血し、顎も負傷した。止血剤で応急処置を施し、演技を実施。終了後に米国チームの医師によって顎を7針縫ったほか、右耳の上の治療も受けた。左足は肉離れを起こしているもようで、車いすに乗って宿舎に戻った。 

 日本スケート連盟の小林芳子フィギュア強化部長によると、出場の判断については、医師の見解を聞いた上で羽生とオーサー・コーチが協議して決めたという。小林強化部長は「シーズンの初めだし、棄権だと思ったが、二人の決定を尊重した」と述べた。閻涵も顎を痛めたが、出場した。

 羽生の次の出場予定はNHK杯(28〜30日、大阪)となっている。(時事通信、2014.11.9)


 <【フィギュアスケート羽生選手負傷】 感動呼ぶも懸念の声 羽生選手、気迫の演技>
 フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第3戦中国杯で、ソチ冬季五輪金メダルの 羽生結弦 (はにゅう・ゆづる) 選手(ANA)が演技直前の練習中に中国選手と激突するアクシデントに遭いながら2位に入った。気迫の演技は感動を呼んだが、頭部を負傷して流血しながらの強行出場に医学的な観点から懸念の声も出ている。

 ▽出場の意志

 激しくぶつかった直後、羽生選手はしばらく倒れ込んだままで、立ち上がっても足元がふらついた。誰もが棄権を予想したが「彼の意志は固かった」とブライアン・オーサー・コーチ。今回、日本は出場選手が3人と少なかったため医師を同行させておらず、米国のチームドクターに診察をしてもらって「脳振とうなどの症状がないかを注意深く見て出場を判断した」(同コーチ)という。

 ただ、世界選手権の金メダリストを指導した別のベテラン外国人コーチは「長年の経験でも見たことのない衝突。私なら絶対に棄権させた」と疑問視した。羽生選手は19歳で、今後の競技生活を考えれば棄権が妥当だったかもしれないが、本人の負けん気の強さに周囲が折れる形となった。

 ▽衝突の危険性

 6人が同時に滑る直前練習の課題もクローズアップされた。日本スケート連盟の 小林芳子 (こばやし・よしこ) フィギュア強化部長は「男子は4回転を跳ぶ選手が増えて滑りのスピードが上がり、6人では事故になるのではと思ったことがある」と打ち明けた。

 昨季までGPシリーズは男女各10人で争ったが、けがなどによる欠場者が出て選手数が少なくなった大会が目立ち、12人に戻された。同時に練習する人数を4人にすれば衝突の危険性は減るが、練習の回数が増えてしまう。テレビ放映に合わせて競技時間の短縮が進むスポーツ界の潮流が、ルール改正の壁となっている裏事情もある。

 ▽疑いでも退場

 頭部損傷による柔道やラグビーの死亡事故を受け、日本脳神経外科学会は昨年「スポーツによる脳損傷を予防するための提言」を発表。脳振とうで競技、練習を続けると「致命的な脳損傷を起こすことがある」として直ちに中止するべきだと警鐘を鳴らした。

 ラグビーでは近年の国際的な指針に従い、脳振とうの疑いでも退場させる。日本ラグビー協会の 渡辺一郎 (わたなべ・いちろう) 安全対策委員長は「羽生選手の動きを見れば『疑い』に該当し、ラグビーなら退場、つまり演技させない判断をする」と話した。

 日本臨床スポーツ医学会理事で東京慈恵会医大の 谷諭 (たに・さとし) 教授は「(水をかければ意識を回復するという)ラグビーの“魔法のヤカン”は過去の話で根性物語は古典的な考え。日本も世界水準に合わせた方がいい。今回のアクシデントが美談として捉えられると怖い」と危惧した。(共同通信、2014.11.11)
posted by リュウノスケ at 22:48| Comment(0) | TrackBack(0) | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする