2014年07月10日

在特会ヘイトスピーチ訴訟

 「ヘイトスピーチ」(憎悪表現)と呼ばれる人種差別的な街宣活動で授業を妨害されたとして、朝鮮学校を運営する京都朝鮮学園が「在日特権を許さない市民の会」(在特会)などに損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は八日、約千二百万円の賠償と学校周辺での街宣禁止を命じた一審京都地裁判決を支持し、在特会側の控訴を棄却した。 

 高裁の森宏司裁判長は、「朝鮮学園には、在日朝鮮人の民族教育を行う利益がある」と認定。在特会の活動について「人種差別に当たり、法の保護に値しない」と述べた。原告側によると、マイノリティー(少数派)が民族の言葉で教育を受ける民族教育の重要性について積極的に評価した初の判決という。一審は言及していなかった。

 森裁判長は「在日朝鮮人を嫌悪、蔑視する発言は、差別意識を世間に訴える意図で、公益目的はない。民族教育事業の運営に重大な支障をきたし、社会的評価を低下させた」と指摘。映像をインターネット上に公開したことに触れ「今後も被害が拡散、再生産される可能性がある」とした。

 判決によると、在特会のメンバーら八人は二〇〇九〜一〇年、当時京都市南区にあった朝鮮学校近くで三度にわたり、拡声器を用い、大音量で「朝鮮人を保健所で処分しろ」「スパイの子ども」などと連呼し、その様子を撮影した動画をネットで公開した。

 一審判決は、日本も加盟する人種差別撤廃条約を根拠に「差別に当たる。平穏な授業を困難にし、学校の名誉を損なった」と判断。在特会の街宣を人種差別とした初めての判決だった。

 控訴審で在特会側は「国籍による区別を主張するもので集会、表現の自由だ」と主張し、賠償額も高すぎると訴えた。学園側は「街宣の悪質さや被害に基づく妥当な額だ」と一審判断を維持するよう求めていた。

 在特会は在日コリアンの特別永住資格などを「特権」とみなし排斥を掲げる団体で、ホームページによると会員は約一万四千五百人。

 街宣では、四人が威力業務妨害罪などで有罪が確定した。

 <ヘイトスピーチ> 人種、民族、宗教上の少数者に対し敵対意識を持ち、憎しみをあおる差別的な表現。「憎悪表現」「差別扇動」などと訳される。2009年ごろから、在日コリアンが多く住む東京・新大久保や大阪・鶴橋で、保守をうたう団体が「殺せ」「たたき出せ」などと叫びながらデモを繰り返した。「カウンター」と呼ばれる反差別団体との乱闘事件も起きている。人権差別撤廃条約は各国にヘイトスピーチの法規制を求めているが、日本にはない。(東京新聞、2014.7.8)


 朝鮮学校に対する街宣活動をめぐり、1審京都地裁に続き「在日特権を許さない市民の会」(在特会)に賠償、街宣禁止を命じた8日の大阪高裁判決。法廷の内外は物々しい雰囲気に包まれ、傍聴席からは不規則発言も飛び出した。

 午前11時、傍聴席を在特会側、原告の京都朝鮮学園側の二手に分けた法廷で裁判長が「控訴棄却」を告げると、原告側から「よしっ」と小さな声が上がった。

 閉廷直後、傍聴席の女性が「日本の司法も終わったな。朝鮮人におもねって、恥を知れ、恥を!」と声を荒らげる場面も。原告側は法廷を後にし、職員が女性を取り囲んだ。

 開廷前には、裁判長らの判断で傍聴券の配布場所が2カ所に分けられ、多くの私服警官が警戒に当たった。(産経新聞、2014.7.8)


 <ヘイトスピーチは人種差別 在特会側への賠償命令確定>
 「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の会員らによるヘイトスピーチ(差別的憎悪表現)を人種差別と認め、在特会側に計約1226万円の賠償と街宣活動の差し止めを命じた今年7月の大阪高裁判決が確定した。最高裁第三小法廷(山崎敏充裁判長)が9日付の決定で、在特会側の上告を退けた。

 ヘイトスピーチを、日本も加入する人種差別撤廃条約が禁じる「人種差別」と認定し、高額賠償を命じた判決が確定したことは、全国で繰り広げられる在日朝鮮人らへの差別的な活動に一定の歯止めになるとみられる。法規制の議論にも影響を与えそうだ。

 在特会の会員らが2009年12月〜10年3月、京都朝鮮第一初級学校(京都市、現・京都朝鮮初級学校)の周辺で拡声機や街宣車を使い、「朝鮮人を日本からたたき出せ」などと演説。同校を運営する学校法人「京都朝鮮学園」が損害賠償と街宣活動の禁止を求めて10年6月に提訴した。

 昨年10月の一審・京都地裁は「在日朝鮮人に対する差別意識を世間に訴える意図の下、在日朝鮮人という民族的出身に基づく排除で、人種差別撤廃条約が禁止する人種差別にあたる」と認定。「条約上の責務に基づき、被害者の効果的な保護や救済となるような額にするべきだ」とし、名誉毀損(きそん)訴訟としては異例の高額賠償を命じた。

 二審・大阪高裁も「何の落ち度もない児童らが、民族的出自だけのために侮蔑的な攻撃にさらされた。精神的被害は多大だ」と述べ、一審判断を支持した。

 在特会側は、学校側が隣接する公園を占拠していたことに抗議する公益の目的があったと主張。「表現の自由にあたる」として争っていたが、いずれも退けられた。

 同会の八木康洋会長は「最高裁が政治的な表現の自由に向き合わなかったことは残念だ」との談話を出した。(朝日新聞、2014.12.10)
posted by リュウノスケ at 03:30| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする