2013年04月18日

「審理で見た血みどろの殺害現場のカラー写真がフラッシュバックする」元裁判員ストレス障害発症

 強盗殺人事件で裁判員を務めた福島県郡山市の60代女性が、証拠の遺体写真を見たことなどが原因で「急性ストレス障害(ASD)」と診断されていたことが18日、分かった。代理人弁護士によると、女性は国に慰謝料160万円を求める訴訟を起こすことも検討している。

 最高裁によると、2009年の裁判員制度開始以降、裁判員経験者が精神疾患により公務災害と認められたケースはない。改めて裁判員の精神的負担へのサポート強化が求められそうだ。

 女性が参加したのは、同県会津美里町で夫婦が殺害された事件の裁判。福島地裁郡山支部で3月4日から公判が始まり、同14日、男に死刑判決を言い渡した。審理中、女性は証拠として殺害現場や傷口のカラー画像などを見たほか、刃物で刺された被害女性が119番中にうめき声を上げる音声の録音を聞くなどした。

 判決後、記者会見に応じた女性は「裁判所の用意したハンバーグ弁当を吐いてしまった」「精神的に耐えられないと思った」と話していた。(時事通信、2013.4.18)


 強盗殺人罪などに問われた男に死刑判決を言い渡した三月の福島地裁郡山支部の裁判員裁判で、裁判員を務めた福島県の六十代女性が、公判後にストレス障害と診断されたことが、関係者への取材で分かった。

 関係者によると、女性は「審理で見た血みどろの殺害現場のカラー写真がフラッシュバックする」と話し、国への法的措置などを検討している。

 最高裁によると、二〇〇九年に裁判員制度が始まって以来、裁判が原因で裁判員経験者が精神疾患を発症し、規定に基づき公務災害と認定された事例はない。裁判員の精神的負担はこれまでも懸念されてきたが、実際に精神疾患の事例が出たことで、サポート体制の充実などが求められそうだ。

 関係者によると、女性は判決日を含む六日間の公判全日程に参加。殺害現場の写真をモニターで見た三月四日には休廷中に嘔吐(おうと)した。その後も食事がのどを通らず、脳裏に写真がフラッシュバックして就寝中に何度も目が覚めるといった症状が、毎日のように出たとしている。

 判決後、裁判員経験者の相談に応じる最高裁の窓口を利用したが症状は改善せず、県内の病院に通院。三月下旬にストレス障害と診断され、現在も治療を受けている。女性は過去に精神疾患になったことはないという。

 福島地検は「真実を伝えるため必要最小限のカラー写真を見せたのは事実」とする一方、女性のストレス障害は「承知していない」としている。

 審理では写真のほか、被害者が助けを求める一一九番の音声も流れ、判決後の記者会見では、複数の裁判員経験者が精神的負担が大きかったと話した。

 この裁判で福島地裁郡山支部は三月十四日、昨年七月に福島県会津美里町で夫婦を殺害したとして強盗殺人罪などに問われた無職高橋明彦被告(46)に求刑通り死刑の判決を言い渡し、弁護側が即日控訴した。(東京新聞、2013.4.18)


 強盗殺人罪などに問われた被告に死刑を言い渡した今年3月の福島地裁郡山支部の裁判員裁判で、裁判員を務めた福島県の60代女性が、証拠調べで見た遺体のカラー画像などが原因で不眠症や食欲不振に陥り、「急性ストレス障害(ASD)」と診断されたことが分かった。女性の弁護士によると、裁判員経験者が精神障害と診断されたのは初めてという。女性側は国に制度の見直しを求めるため、慰謝料など計160万円を求める国家賠償訴訟を仙台地裁に起こす構え。

 裁判員の心のケアを巡り、最高裁は昨年2月の有識者懇談会で、遺体の写真など刺激の強い証拠は白黒にしたり、コンピューターで加工した映像にしたりするなど、裁判員の衝撃を和らげる配慮をしていると説明。メンタルサポート体制も充実していると述べていたが、裁判員を務めたことによる「被害」が確認されたことで、12年から進められている裁判員法の見直し論議にも影響を与えそうだ。

 女性や家族によると、3月1日に同支部で裁判員選任手続きがあり、強盗殺人事件の担当と告げられた直後から不眠症に悩まされるようになった。

 証拠調べでは、被害者夫婦の遺体や傷口のカラー画像が目の前のモニターに映し出された。評議では、テーブルの真ん中に犯行に使われたとされた凶器のナイフが置かれ、被告の残忍性の説明を受けた。

 その結果、食事をしても嘔吐(おうと)を繰り返すようになり、判決後も、遺体の画像などがフラッシュバックし、悪夢にさいなまれた。量刑を巡る自らの決定にも悩み続けているという。

 そのため女性は、最高裁が開設している「裁判員メンタルヘルスサポート窓口」に連絡。しかし、交通費を自分で負担して東京に行かないと対面カウンセリングが受けられないと告げられ断念した。3月22日に心療内科で受診したところ、1カ月の休養を要するASDと診断され、心的外傷後ストレス障害(PTSD)へ移行する恐れがあるとして薬物治療を受けることになった。

 女性や家族は「裁判員の心のケア制度はあるのかもしれないが、実際には役に立っていない。国賠訴訟を機に裁判員件経験者全員に改めて聞き取りするなどして制度の見直しを図ってほしい」と訴えている。(毎日新聞、2013.4.18)


 福島地裁郡山支部で今年3月、強盗殺人罪などに問われた被告に死刑判決を言い渡した裁判員裁判で、裁判員を務めた福島県郡山市の60歳代の介護員女性が、遺体のカラー画像を見たことが原因で、「急性ストレス障害」(ASD)と診断されたことが18日、分かった。

 女性は、国を相手に慰謝料など160万円を求める賠償訴訟を仙台地裁に起こすことも検討している。

 女性は、同県会津美里町で2012年7月に夫婦が殺害された事件の裁判員裁判で裁判員を務めた。3月1日に裁判員の選任手続きがあり、同月14日の判決まで公判は6回開かれた。

 女性の代理人の弁護士によると、裁判員に選任された当日から女性は不眠に悩むようになったという。

 公判では、被害者夫婦の遺体の画像がモニターで映し出され、検察側から、犯行の残忍性について説明を受け、その後、食事をしても嘔吐(おうと)を繰り返すようになった。判決後も、遺体の画像が脳裏に浮かび、悪夢にさいなまれることもあったという。

 判決後、女性は、記者会見に応じ、「現場写真は血まみれというより、血の海だった。そのショックが大きくて、弁当を吐いたこともあった」と、公判で受けた精神的負担について語っていた。

 女性はその後、裁判員メンタルヘルスサポートを利用しようとしたが、東京まで出向かなければならないと知って断念したという。同月22日、自宅近くの病院の心療内科で受診。ASDと診断され、現在も薬物治療を続けている。弁護士によると、女性は、裁判員を経験したことで強い精神的なダメージを受けたと被害を訴え、裁判員制度の見直しを求めているという。(読売新聞、2013.4.18)


 前々からこういうことになるのではないかと指摘されていたわけですが、ついに現実となってしまいました。悲惨な遺体写真を見なければ被告の残忍性を正確には理解できないので、裁判員制度を続ける限りこういった不幸なケースは起こり続けます。

 賠償訴訟となった場合、仙台地裁がどういった判決を出すのか。興味深いところではあります。


 <元裁判員:ストレス障害発症、国賠提訴「制度は違憲」主張>
 強盗殺人罪などに問われた被告に死刑を言い渡した今年3月の福島地裁郡山支部の裁判員裁判で裁判員を務めた60代女性が「急性ストレス障害(ASD)」と診断された問題で、女性が7日午前、慰謝料など200万円の国家賠償を求める訴えを仙台地裁に起こした。裁判員制度を「憲法違反」と主張、裁判員法を成立させた国会の責任も追及する。2009年5月に裁判員制度が始まって以降、裁判員経験者が制度の是非を問う初の裁判となった。

 女性は毎日新聞の取材に、「新たな苦痛が伴う提訴にためらったが、制度が国民のためになっていないと思い決断した」と語った。

 訴状によると、女性は証拠調べで見せられた被害者2人の遺体の刺し傷計24カ所すべてのカラー写真などが頭から離れず、不眠症や吐き気、フラッシュバックなどに苦しむようになった。「裁判員メンタルヘルスサポート窓口」に電話し、地域の保健所を紹介されたが対応してもらえず、3月22日に福島県内の病院でASDと診断された。

 女性側は、裁判員になったためにASDになったと主張。裁判員制度が苦役からの自由を保障した憲法18条や、個人の尊厳や職業選択の自由を認める同13、22条に反するとし、法案提出から3カ月弱の審議で成立させた衆参両院にも過失があったと訴えている。

 裁判員制度を巡っては、覚せい剤取締法違反罪などに問われ、1審で懲役9年の判決を受けた外国籍の被告が、上告審で「制度は下級裁判所の裁判官は内閣で任命するとした憲法80条や同18条などに違反する」と主張したが、最高裁大法廷は11年11月に「合憲」と判断している。女性の代理人の織田信夫弁護士(仙台弁護士会)は「今回の訴えは裁判員経験者が起こしたもので事案が異なる。新たな憲法判断が必要だ」と語った。

 ◇解説…「心理的負担」重い問いかけ

 裁判員制度が憲法に違反するかどうかについては、最高裁が既に「合憲」と判断しているため、専門家は、今回の訴訟で踏み込んだ議論にはならない可能性も指摘する。一方で、裁判員を務めたことで心に傷を負った女性の「容易に拒否できず、裁判中に心理的負担を受ける制度そのものの見直しが必要」との問いかけは重い。(毎日新聞、2013.5.7)


 <「裁判員制度は合憲」 ストレス障害 賠償棄却 福島地裁判決>
 強盗殺人事件の裁判で裁判員を務めることを強制され、殺害現場の写真を見るなどして急性ストレス障害になったとして、福島県郡山市の青木日富美(ひふみ)さん(64)が、国に二百万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、福島地裁は三十日、請求を棄却した。青木さんは裁判員制度が違憲だと主張したが、判決は合憲との判断を示した。

 制度の是非をめぐり、裁判員経験者が提訴したのは全国で初めてとみられる。

 判決理由で潮見直之裁判長は「原告が裁判員を務めたことと、ストレス障害を発症したことには、相当因果関係があると認められる」とした。

 その上で裁判員制度について「司法の国民的基盤の強化を図るものであることに照らせば、裁判員法の立法目的は正当」と指摘。「過重な負担を回避するため、柔軟に対応すべきと指摘していた」として、国会議員の立法行為が違法とはいえないと述べた。

 さらに「裁判員の辞退を弾力的に認め、日当を支給するなど負担軽減の措置が取られており、国民の負担が合理的な範囲を超えているとはいえない」と、憲法18条が禁じた意に反する苦役に当たらないと判断した。

 原告側は、裁判員選任手続きで正当な理由がなく呼び出しに応じなかった場合、過料を科すことを定めたのは、苦役に当たると主張。不十分な審議で裁判員法を成立させた立法の過失があると訴えていた。

 判決後の記者会見で、青木さんは「控訴は弁護士と相談して決めたい」と述べた。

 提訴を契機に各地の裁判員裁判では、証拠調べで遺体の写真をモノクロにしたり、事前に告知したりするなど、裁判員の負担軽減策が取られている。今回の裁判で原告側は、証拠調べで過失があったと主張しなかった。

 訴状などによると、青木さんは昨年、福島県会津美里町で二人が殺害された強盗殺人事件の裁判員裁判で、遺体の写真や被害者が助けを求める一一九番の録音を見聞きし、その際の場面が突然思い出される「フラッシュバック」や不眠などを伴う急性ストレス障害になったとしている。(東京新聞、2014.9.30)


<参照>
毎日新聞 会津美里の夫婦殺害:死刑判決 裁判員決断迫られ 「更生の可能性ある」弁護側が控訴 /福島
posted by リュウノスケ at 23:27| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする