2012年12月07日

鳥取連続不審死事件鳥取地裁判決要旨

 債務の返済を免れるために知人男性2人を殺害したなどとして、強盗殺人罪などに問われた鳥取市の元スナックホステス上田(うえた)美由紀被告(38)の裁判員裁判の判決が4日、鳥取地裁であった。

 野口卓志裁判長は2件の強盗殺人などすべての起訴内容を有罪と認定し、「動機は冷酷、身勝手で、強固な殺意に基づく計画的な犯行。極刑をもって臨むほかない」と述べ、求刑通り死刑を言い渡した。上田被告は無罪を主張しており、弁護側は即日控訴した。

 判決によると、上田被告は2009年4月、トラック運転手・矢部和実さん(当時47歳)に睡眠導入剤などを飲ませ、鳥取県北栄(ほくえい)町沖の海岸で水死させて借金270万円の返済を免れた。また、同年10月には、同市の摩尼(まに)川で電気工事業・円山秀樹さん(同57歳)を同様の手口で水死させ、家電製品代約53万円の支払いを逃れるなどした。

 直接証拠はなかったが、野口裁判長は、被害者から検出された睡眠導入剤などと、上田被告が別の知人男性から入手した処方薬との成分は同一で、事件当日に被害者に飲ませたと認定。

 その上で、円山さん事件で「同被告だけに殺害の機会があった」と判断した。

 矢部さん事件でも、上田被告に電話で現場付近に呼び出された元同居人の男性元会社員(49)が、「全身がずぶぬれの上田被告がいた」と証言したことなどから、「同被告が矢部さんを溺れさせた」と結論付けた。
(2012年12月4日20時38分 読売新聞)


 鳥取連続不審死事件で上田美由紀被告に死刑を言い渡した4日の鳥取地裁判決の要旨は次の通り。

 【矢部和実さん殺害】

 弁護人は2009年4月4日午前8時22分以降、被告の同居相手だった元会社員が現場の砂浜に到着した時、被告がずぶぬれだった事実を争っている。しかし、被告の着替えを購入したとの元会社員の証言と同じ衣類が衣料品店で購入されており、動かしがたい事実と合致する。証言は信用でき、被告がずぶぬれだったことも認められる。

 被告は矢部さんから270万円の弁済を強く求められており、殺害の決意は不思議ではない。

 被告は矢部さんが行方不明になるまで2人行動を共にしており、溺れさせる機会があった。4月という寒い時期に被告が全身ずぶぬれであったことは、死因などに照らし矢部さんを海中誘導し溺れさせたと考えるしか説明がつかない。

 元会社員が被告と現場の砂浜にいた時間は10分間で、殺害に必要な行為をこなすのは困難だった。また、矢部さんの胃の内容物と被告がコンビニで買った食品が整合しており、被告が睡眠薬を飲ませた上、1人で矢部さんを溺れさせて殺害したと認められる。被告と元会社員の共謀を認めるのは困難だ。

 【円山秀樹さん殺害】

 09年10月6日午前10時ごろ、円山さんと被告、元会社員で現場付近の道路に到着した。元会社員は被告にスーパーの駐車場で待つよう指示され、午前10時20分ごろに駐車場に行き、30分後に被告と合流した。

 弁護人は元会社員が犯行時間帯に駐車場にいたという証言の信用性を争っているが、防犯カメラや警察官の証言などの事実から十分信用できる。

 殺害されたのはこの30分間以外には考えられないが、円山さんと一緒にいて、殺害の機会があったのは被告だけで、元会社員を駐車場に待機させたのは犯行を見られないようにするためだった。また、円山さんから検出された複数の風邪薬は、被告の自宅にあった薬が含まれていたことなどから、被告が睡眠薬を飲ませたと推認される。意識もうろう状態の被害者を被告が1人で川や海まで運ぶのは可能だった。被告と元会社員の共謀を認めるのは困難だ。

 円山さんから電化製品の代金、計約53万円の支払いを求められて、殺害動機があった。

 【量刑理由】

 いずれも被害者から金銭の支払いを求められて対応に困ると安易に殺害した。都合の悪い存在を消し去ることで安泰を図ろうという冷酷、身勝手な動機で、人命をあまりにも軽く扱っている。矢部さん殺害後に反省するどころか味をしめたように円山さんを殺害しており、同じ機会に2人を殺害した場合より強く非難されるべきだ。いずれも計画的な犯行で強い殺意が認められる。

 被告は不合理な弁解はしていないが、反省や謝罪の念は示していない。2件の強盗殺人は同種事案に比べても悪質さが顕著。死刑が究極の刑罰であることを考慮しても、極刑をもって臨むほかない。(山陽新聞、2012.12.5)


<参照>
ウィキペディア 鳥取連続不審死事件
posted by リュウノスケ at 21:09| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする