2012年02月26日

第86回中山記念(GII)

三連単 J→A・B・D⇔F・H=1万2000円
前回までのトータル:−81万9210円
回収率:76.0%
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2012年02月23日

ワタミ女性社員過労自殺事件労災認定

 居酒屋「和民」を展開するワタミフードサービス(東京)の社員だった森美菜さん=当時(26)=が2008年に自殺したのは、長時間労働によるストレスが原因だったとして、神奈川労働者災害補償保険審査官が労災適用を認める決定をしていたことが21日、分かった。決定は14日付。

 遺族が同年8月、横須賀労働基準監督署に労災認定を申請したが認められず、同審査官に審査請求していた。

 代理人弁護士によると、森さんは同年4月に入社、神奈川県横須賀市内の和民に配属された。5〜7日間連続の深夜勤務など長時間労働で、時間外労働は月100時間を超えた。入社約2カ月後の同年6月、自宅近くのマンションから飛び降り自殺した。

 審査官は決定書で「業務による心理的負荷が主因となって精神障害が発症した」と認定した。(時事通信、2012.2.22)


 居酒屋チェーン運営「ワタミフードサービス」(東京都大田区)の従業員だった森美菜さん(当時26歳)が08年に自殺し、神奈川労働者災害補償保険審査官が長時間労働によるストレスが原因として労災認定していたことが21日、分かった。遺族代理人の弁護士が明らかにした。

 森さんは08年4月に入社し神奈川県横須賀市内の店舗に配属されたが、同年6月に同市内の自宅近くのマンションから飛び降り自殺した。決定書によると、深夜の調理担当の森さんは、抑うつ状態となる5月中旬まで1カ月の時間外労働が約140時間に上り、過労で自殺したと認めた。

 遺族は横須賀労働基準監督署に労災申請したが「ストレスが大きかったと言えない」と棄却され、同審査官に不服を申し立てていた。ワタミ広報グループは「内容を把握しておらずコメントを差し控える」と話している。(毎日新聞、2012.2.21)


 居酒屋「和民」を展開するワタミフードサービス(本社・東京都大田区)の女性社員(当時26歳)が2008年に自殺したことについて、神奈川労働者災害補償保険審査官は「(自殺は)業務による心理的負荷が原因」として、遺族の労災申請を認めなかった09年7月の横須賀労働基準監督署の処分を取り消し、労災と認める決定をした。

 決定は14日付。

 決定書によると、女性社員は08年4月に入社し、神奈川県横須賀市の店に配属されて調理を担当。最長で連続7日間の深夜勤務を含む長時間労働や、休日に行われるボランティア研修に参加するうちに精神障害となり、入社から約2か月後の同年6月、自宅近くのマンションで飛び降り自殺した、とした。4〜6月の時間外労働時間は計約227時間だった。(読売新聞、2012.2.21)


体が痛いです
体が辛いです
気持ちが沈みます
早く動けません
どうか助けて下さい
誰か助けて下さい
(自殺した森美菜さんが手帳に書いた日記、共同通信、2012.2.21、手帳の画像


わたなべ美樹 ‏ @watanabe_miki
バングラデシュ 朝、五時半に、イスラムの祈りが、響き渡っています。たくさんのご指摘に、感謝します。どこまでも、誠実に、大切な社員が亡くなった事実と向き合っていきます。バングラデシュで学校をつくります。そのことは、亡くなった彼女も期待してくれていると信じています。(ツイッター、2012.2.22)


 企業の創業者というのは仕事における全能感によって新興宗教の教祖にも似た絶対的自信を持ちがちです。和民の渡邉美樹社長もそんなカリスマ経営者としてマスコミに引っ張りだこであり、去年の都知事選でも石原慎太郎、東国原英夫に次ぐ3位、101万3132(16.8%)もの票を獲得しました。

「渡辺は、自社ビルの高層階での会議で部下を叱責する際、「ビルの8階とか9階から、『今すぐここから飛び降りろ!』と平気でよく言う」「どれだけきつく叱っても大丈夫かというのが信頼関係のバロメーター」という趣旨の発言を雑誌「プレジデント」でのインタビューで述べた。そして、部下を暴行するなどし退職に追い込んだエピソードを美談の一部として紹介している。インタビュー内容はロイター通信社のウェブサイトにも掲載された」(ウィキペディア 渡邉美樹)

「テレビ東京の番組『日経スペシャル カンブリア宮殿』にて近年の若者の態度を批判して「よく『それは無理です』って最近の若い人達はいいますけど、例え無理な事だろうと無理矢理にでも1週間やらせれば、それは無理じゃなくなるんです」「そこで辞めてしまうから『無理』になってしまうんです。全力で走らせてそれを1週間続けさせればそれは『無理』じゃなくなるんです」と述べている」(同上)

 一方で渡邉は昔から理不尽ともいうべき業務命令を当然のように語っていました。無尽蔵な自信の根拠は超人的な仕事量から来るのでしょうが、労働が自己資産と直結する経営者と「搾取される側」の被雇用者とではストレスが全く違います。上記の狂気めいた発言・ツイートから社員、否人間に対する情というものは一切感じられません。

 私は昔から渡邉とグッドウィルの折口雅博が同じ顔にしか見えませんでした。なぜこういう人たちを礼賛するのか。マスコミも渡邉に投票した100万人もこの冷淡さをよしとして支持しているのか。「勝ち組」なら何をしても許されるという我が国の社会に薄ら寒さを覚えずにはいられません。森美菜さんのご冥福を心よりお祈りします。





<参照>
ウィキペディア ワタミ 女性従業員(当時26)入社2ヶ月で過労自殺
ウィキペディア 渡邉美樹
日刊SPA! 【ワタミ労災認定】元店員が語るブラックな労働環境
プレジデントオンライン なぜ「飛び降りろ」と叱咤できたのか:ワタミ会長 渡邉美樹
YOMIURI ONLINE 渡辺 美樹 : プロフィル : 統一地方選2011 : 地方選 : 選挙
J-CASTニュース 渡邉美樹会長発言がネット大炎上 ワタミ側は「自殺社員」の労災認定に反論
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2012年02月20日

光市母子殺害事件最高裁判決要旨

 20日に言い渡された光市母子殺害事件の最高裁判決の要旨は次の通り。

 犯行時18歳だった被告は暴行目的で被害者を窒息死させて殺害し、発覚を免れるために激しく泣き続けた生後11カ月の長女も床にたたきつけるなどした上で殺害した。

 甚だ悪質で、動機や経緯に酌量すべき点は全く認められない。何ら落ち度のない被害者らの尊厳を踏みにじり、生命を奪い去った犯行は、冷酷、残虐で非人間的。結果も極めて重大だ。

 殺害後に遺体を押し入れに隠して発覚を遅らせようとしたばかりか、被害者の財布を盗むなど犯行後の情状も悪い。遺族の被害感情はしゅん烈を極めている。

 差し戻し控訴審で、故意や殺害態様について不合理な弁解をしており、真摯(しんし)な反省の情をうかがうことはできない。平穏で幸せな生活を送っていた家庭の母子が白昼、自宅で惨殺された事件として社会に大きな衝撃を与えた点も軽視できない。

 以上の事情に照らすと、犯行時少年であったこと、被害者らの殺害を当初から計画していたものではないこと、前科がなく、更生の可能性もないとはいえないこと、遺族に対し謝罪文などを送付したことなどの酌むべき事情を十分考慮しても、刑事責任はあまりにも重大で、差し戻し控訴審判決の死刑の量刑は、是認せざるを得ない。

 【宮川光治裁判官の反対意見】

 被告は犯行時18歳に達していたが、その年齢の少年に比べて、精神的・道徳的成熟度が相当程度に低く、幼い状態だったことをうかがわせる証拠が存在する。

 精神的成熟度が18歳に達した少年としては相当程度に低いという事実が認定できるのであれば「死刑を回避するに足りる特に酌量すべき事情」に該当しうる。

 被告の人格形成や精神の発達に何がどう影響を与えたのか、犯行時の精神的成熟度のレベルはどうだったかについて、少年調査記録などを的確に評価し、必要に応じて専門的知識を得るなどの審理を尽くし、再度、量刑判断を行う必要がある。審理を差し戻すのが相当だ。

 【金築誠志裁判官の補足意見】

 人の精神的能力、作用は多方面にわたり、発達度は個人で偏りが避けられないのに、精神的成熟度の判断を可能にする客観的基準はあるだろうか。

 少年法が死刑適用の可否について定めているのは18歳未満か以上かという形式的基準で、精神的成熟度の要件は求めていない。実質的な精神的成熟度を問題にした規定は存在せず、永山事件の最高裁判決も求めているとは解されない。

 精神的成熟度は量刑判断の際、一般情状に属する要素として位置付けられるべきで、そうした観点から量刑判断をした差し戻し控訴審判決に、審理不尽の違法はない。(中日新聞、2012.2.20)
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2012年02月19日

第29回フェブラリーステークス(GI)

三連単 N⇔@・A・B・C・D・E・F・G・J・L・M・O→H・I=1万2000円
前回までのトータル:−80万7210円
回収率:76.2%
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文部科学省放射線量新基準値案了承

 文部科学省の放射線審議会は16日、食品に含まれる放射性セシウムについての厚生労働省の新基準値案を了承した。ただ審議では、基準が「厳しすぎる」との意見が相次ぎ、生産者への配慮などを求める異例の意見も付いた。新基準値は厚労省の審議会を経て、4月から適用される見通し。

 新基準値では、食品による年間被(ひ)曝(ばく)線量を5ミリシーベルトから1ミリシーベルトに厳格化。「一般食品」は1キロ当たり100ベクレル、「牛乳」と粉ミルクなど「乳児用食品」は同50ベクレル、「飲料水」は同10ベクレルとなり、暫定基準値の4分の1から20分の1になる。

 これに対し、審議会の答申では、「差し支えない」としたものの、福島県産の農産物などの流通に影響する可能性もあり、地元の生産者らの意見を最大限尊重して運用すべきだとの意見が付いた。

 検査の精度や検査数の確保などの重要性も指摘。乳児用食品と牛乳を一般食品より厳しくしたことについては「特別の基準値を設けなくても子供への配慮は十分」とした。

 これまでの議論では、最近の調査で食品のセシウム濃度は十分に低いとして、厳格化のデメリットが指摘されていた。国産食品の大半が汚染されているとの仮定で算出されたことに対し、「実際に比べて汚染割合が大きい」として「基準値が低いほど良いというイメージが先行している」との意見も出た。検査体制も「測定時間が長くなり、サンプル数が減る」と見逃しの可能性が指摘された。

 健康被害だけでなく生産者の生活への影響も考えるべきだとの声も上がった。

 1月の審議会に出席したコープふくしまの佐藤理(おさむ)理事は「新基準が施行されれば広範な田畑が作付け制限を受けることは必至。農業県である福島の復興を閉ざすに等しい」と訴えていた。

 こういった指摘に、厚労省は「実態に対応できない基準を作ることはあり得ない。農林水産省と十分に協議し、福島であっても大きな影響はないと聞いている」と説明している。

 放射線審議会は新基準値案が安全かどうかを判断するのが目的のため、意見を添えた上で、答申がまとまったが、ある委員は「食品の流通だけを考えるのではなく、政治が福島の復興の全体像を描くべきだった」と批判した。(産経新聞、2012.2.16)


 食品に含まれる放射性セシウムの新規制値案について厚生労働省が実施していた意見公募に対し、案の妥当性について厚労省から意見諮問を受けた文部科学省放射線審議会の前会長、中村尚司(たかし)東北大名誉教授が「(厳しい規制は)福島県の農漁業に甚大な影響を与える」などとして、公募期間中に「反対意見の投稿要請」とも受け取れる依頼を関係学会の会員らにメールで送っていたことが十六日、分かった。

 メールには丹羽太貫(おおつら)現会長の名前も出していた。中村氏は「反対意見の投稿を要請したつもりはない」と話しているが、審議会前会長の立場で影響力を行使したとの批判も起こりそうだ。

 中村氏によると、一月二十日前後に日本原子力学会の関係者を通じて学会下部組織の会員らに依頼文をメールで送った。実際、何人に送られたかは不明。

 メールでは新規制値案をめぐる同審議会の議論について「安全性の評価、社会的影響に関する検討がなされていないと紛糾している」とし「本案が施行されると福島県産の農産物、海産物が売れなくなる」「(福島)県民の感情を無視したもの」と指摘。

 意見提出の要領などを記載した、総務省が運営するインターネットサイトの宛先を添付した上で「ぜひ対応して頂くようお願いいたします」としていた。

 中村氏は「それぞれで考えて意見を出してほしいという趣旨だった」と説明。前会長の立場での依頼については「すでに会長を辞めており審議会にもタッチしていない」と話した。

 厚労省によると、意見公募は一月六日から今月四日まで実施。これまでに約千七百件の意見が寄せられ、もっと厳しくすべきだとの意見は約千四百件、厳しすぎるとの意見は約四十件だった。

 中村氏は二〇〇七年三月から昨年二月まで放射線審議会会長を務めた。

 ■事実関係把握していない

 丹羽太貫・放射線審議会会長の話 ある人から「あなたと(前会長の)中村さんの名前でメールが出ている。これは何ですか」と聞かれたが、事実関係を把握していなかった。中村さんに聞いたら「学会の幹事にメールを送ったら、それが流れた」と説明を受けた。(東京新聞、2012.2.17)


 文部科学省放射線審議会の前会長、中村尚司東北大名誉教授が関係学会の会員らに送ったメール全文は次の通り。

 皆様 既にご存知の方も多いかとは存じますが、厚労省東電福島第1原子力発電所の事故を受け設定され、現在使用中の食品中の放射性物質に係る「暫定基準値」に代わり、「新しい基準値」を設定し、本年4月に公布、施行する準備を進めています。これは昨年8月にパブリックコメントにかけられた食品安全委員会の「放射性物質食品健康評価案=生涯100mSv→1mSv/y」からの一連の流れに沿ったものであり、食品中の放射性セシウム線量を5ミリシーベルトから1ミリシーベルトと1/5に引き下げることになっています。この「新規制値案」は現在、放射線審議会(会長・丹羽太貫京大名誉教授)の諮問にかけられていますが、「安全性の評価と社会的、経済的影響に関する評価と社会的、経済的影響に関する検討がなされていない(ALARAの適用)」ということで、紛糾しています。本案が施行されますと、福島県の農業、漁業へ甚大な影響を与え、福島県産の農作物、海産物が売れなくなる可能性が一層高まります。(現在でも拒否反応が強いが)これは原発事故から立ち直ろうと田畑の除染等を進めている同県の県民感情を無視したものと考えます。

 つきましては、パブリックコメント募集内容をご確認の上、是非対応して頂くようお願いいたします。なお、募集期限は2月4日(土)厳守です。(総務省のサイトのリンク先・略)

 なお、私は丹羽先生とも連絡を取って添付したコメントを出しましたので、参考までにお送りします。

 中村尚司
(山陽新聞、2012.2.17)


 厚生労働省の諮問を受け、食品の放射性セシウムの新基準値案を審議していた文部科学省の放射線審議会(会長・丹羽太貫京都大名誉教授)は2日、乳児用食品と牛乳について、1キロあたり50ベクレルを100ベクレルに緩めてもよいとする答申案をまとめた。次回に最終案を厚労省に答申する。

 審議会では「乳児も含めどの年齢層でも、1キロあたり100ベクレルの食品を摂取し続けても、年間被ばく限度の1ミリシーベルト以内に収まる」との意見が大勢を占め、子供の健康は十分に守られるとの見解で一致した。新基準値案は農漁業生産者に厳しすぎ、被災地の復興にも影響を与える可能性があるとの意見も出た。答申案には「基準値の決定にさまざまな関係者が関与すべきだ」と記された。

 厚労省は昨年12月、穀類500ベクレルなど今の暫定規制値を見直し、乳児用食品50ベクレル▽牛乳50ベクレル▽一般食品100ベクレルなどの新基準値案を発表。放射線審議会の答申や国民の意見募集を経て新基準値を決め、4月から施行する。(毎日新聞、2012.2.2)


 NHKが昨年末、国際的な低線量被ばくのリスク基準が政治的な判断で低く設定されたという内容の番組を放映したことに対し、原子力発電推進を訴える複数団体のメンバーらが「(番組内容には)誤りや論拠が不明な点、不都合な事実の隠蔽(いんぺい)がある」として、NHKに抗議文を送っていたことが分かった。 

 団体側はNHKに先月末までの回答を求めていた。NHKの広報担当は「番組内容に問題はないと考えているが、(抗議には)誠実に対応させていただく」としている。

 抗議文は外務省の初代原子力課長、金子熊夫氏が会長を務める「エネルギー戦略研究会」、東京電力出身の宅間正夫氏が会長の「日本原子力学会シニア・ネットワーク連絡会」、元日立製作所社員の林勉氏が代表幹事の「エネルギー問題に発言する会」の三団体が作成、提出した。

 番組は昨年十二月二十八日に放送された「追跡!真相ファイル 低線量被ばく 揺れる国際基準」。国際放射線防護委員会(ICRP)が被ばくによる発がんリスクの基準設定を政治的な判断で低くしたという趣旨を同委員会メンバーへの取材を交えて報じた。

 これに対し、団体側は「インタビューの日本語訳が意図的にすり替えられている」「政治的圧力で(被ばく)規制値を緩和したかのような論旨だが、論拠が不明確」などと指摘し、調査を求めた。

 三団体は過去にも報道機関に「原子力は危ないという前提で、編集している」といった抗議活動をしてきたが、東京電力福島第一原発事故後では今回が初めての行動だという。

 原爆の影響調査に携わってきた沢田昭二名古屋大名誉教授は「番組の内容は正確。日本語訳もおおむね問題はなかった。重要な情報を伝える良い番組だった」と話している。(東京新聞、2012.2.1)


 放射線被ばくの健康影響については、まだ研究途上にある。だからこそ、次代を担う子どもたちの安全を願う親たちの不安は深刻なのだが、そんな折も折、低線量被ばくの問題点を指摘したNHKの番組に、原発と深い関わりを持つ団体が抗議の矛先を向けた。このバトル、どうなるのか。

 ◇原子力ムラの「抗議」 報道、議論尽くせるか

 <公共放送としてNHKに求められる高い放送倫理に疑義を挟まざるを得ない>

 1月12日にNHKに送られた、A4判8枚からなる「抗議と要望」と題する文書の一節だ。さらに<事実誤認もしくは根拠薄弱であることが明らかになったら、番組自体を撤回するのも国民の受信料で経営をしているNHKの責務>とし、<放射線の恐怖のみを煽(あお)るような“風評加害者”的報道は今後止(や)めるよう強く要望>している。何とも痛烈な内容だ。

 送り主は「エネルギー戦略研究会」「日本原子力学会シニア・ネットワーク連絡会」、そして「エネルギー問題に発言する会」の3団体。いずれも「原発推進」が日本には不可欠との立場から、シンポジウムやセミナーなどを開いている民間の組織だ。

 トップの経歴は、研究会の金子熊夫会長が外務省の初代原子力課長、連絡会の宅間正夫会長は元東京電力柏崎刈羽原発所長、発言する会の林勉代表幹事は元日立製作所・原子力事業部長。さらに3団体のホームページを見ると、抗議文の「賛同者」として元東電副社長で元自民党参院議員の加納時男氏や、元日本原子力学会会長、大学の名誉教授、原発メーカーの元幹部ら総勢112人の名前が並ぶ。

 政・財・官・学のいわゆる「原子力ムラ」のOBらが顔をそろえた格好だ。

 彼らが取り上げたのは、NHKが昨年12月28日に総合テレビで放送した「追跡!真相ファイル『低線量被ばく 揺らぐ国際基準』」。国が安全性の根拠としている、被ばく量が生涯100ミリシーベルト以下ではがんなどが発症する明確な根拠はないという国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に疑問を投げかける内容だ。30分の番組の中で、86年のチェルノブイリ原発事故から25年が過ぎた今になってスウェーデンでがんが増加したことや、米国の原発周辺でもがん発症が目立つことを報告。さらに元ICRP委員へのインタビューなどから、かつてICRPが原爆による被ばくのリスクを「政治的判断」で半分に設定していた−−などと伝えている。

 ■

 そのどこが<“風評加害者”的報道>だというのか。

 抗議文では▽インタビュー場面に意図的な誤訳がある▽疫学的調査では、原子力施設と疾病との関係は認められていない−−などと指摘。<数々の論旨のすり替え>や<不都合な情報の隠蔽(いんぺい)>もあるとしている。

 「賛同者」リストに名を連ねる人物に接触した。東電OBで、同社では「放射線防護の研究に携わっていた」という男性だ。

 「米国の原発周辺でがんが増えていると言うが、ならば世界で400基以上ある原発の周りの住民たちはどうなんです? がんの危険を主張するのは、原発反対派が古くから使う手法なんです」

 ICRPが「政治的判断」から被ばくリスクを半分に設定したという部分は「論拠が不明」と切り捨てる。

 「NHKには、公平で客観性のある報道をしてほしいだけなんです。原子力ムラと言われようが、一方的に踏みつけられっ放しというわけにはいきませんよ」

 では、NHK側は何と反論するのか。

 見解を求めると「十分に取材を尽くしており問題はないと考えている。団体の方々には番組内容を丁寧に説明するなど誠実に対応しています」と回答した。

 内部被ばくなど低線量の放射線による被害の調査・研究を続ける沢田昭二・名古屋大名誉教授(素粒子物理学)に会った。「彼らは安全神話を振りまいてきた当事者です。ところが抗議文には、人災でもある福島原発事故への反省の弁が見当たらない。謙虚さに欠けています」。それが、自らも広島の原爆を経験した被爆者である沢田さんの第一声だった。

 「ICRPが米国の核兵器工場や原発推進の勢力から圧力や影響を受け続けてきたことは、(ICRPの)内部被ばくに関する委員会の議長を務めたカール・モーガン博士が自著で明らかにしています。番組は、そうしたことを丹念に取材し、広く知らせたものでした」

 さらに沢田さんは言う。

 「内部被ばくのリスクを低く見るICRPの姿勢は、欧州放射線リスク委員会(ECRR)からも批判されているのです。低線量の被ばくであっても、長い年月の後に健康被害に至る恐れはある」

 「原子力ムラの人たちは、震災前からしばしばメディアに抗議文を送っていた」。そう声を荒らげるのは自民党衆院議員の河野太郎さんだ。国会や著書「原発と日本はこうなる」などで原発利権の暗部を追及し続けている。

 「細かな点を突っ込み、報道する側に『面倒くさい』と思わせ萎縮させるような空気を醸し出す。しかし自らは原発事故の総括もない。懲りていませんね」

 ■

 ただ、抗議は抗議として、3団体側の関係者も、再稼働が難しくなったことは認める。先の東電OBは「事故原因の究明も待たずに再稼働を決めても、国民の理解は得られない。たとえ経済産業省原子力安全・保安院がストレステスト(安全評価)で『妥当』としても無理でしょう」。言葉に悔しさがにじむ。

 原発の設計に携わってきたという3団体の一つに属する別の男性も「台湾の原発には非常用電源としてディーゼル機関以外にガスタービンもある。さらに建屋上の高台には冷却用の水をためたプールもある。福島よりも多重防護だ」と語り、「国と東電が危険性に耳を傾け対応策を取っていたら……」と唇をかむ。

 「報道機関は連携して、一斉に闘うべきです」と話すのは立教大教授(メディア法)の服部孝章さんだ。「この問題を単に原子力ムラとNHKとの争いとして終わらせてはいけない。抗議の事実をNHKも他のテレビ局も報じ、公の場で議論すべきです」。そうでないと、放射線による被ばく影響という「核心」がゆがめられてしまうという。

 「メディアが試されているのです。専門家の権威を恐れて沈黙していては、今後も原子力ムラに利用されるだけになってしまう」

 そもそも科学とは誰の、何のためにあるのか。報道とは誰のための営みか。

 こうした原点が改めて問われている。(毎日新聞、2012.2.16)


 福島県産農作物・海産物を食べていいのかという話なんですが、この問題に関して素人の私が安易に発言していいとは思いません。健康に影響のない基準値を専門家が科学見地から導き出すしかないからです。

 その意味で、今回の中村尚司東北大名誉教授が送ったメールは文部科学省放射線審議会の信用を失わせるに十分な内容でした。科学ではなく福島の生産者を慮って決定した数値を信じる消費者はいません。

 民放各局がワイドショーなどで福島県産農作物・海産物を応援する一方、年末にNHKで放送された『追跡!真相ファイル 低線量被ばく 揺れる国際基準』は衝撃的でした。あれを見て内部被曝の恐怖を感じた視聴者は多いでしょう。特に子供を持つ母親は切実だと思います。

 そういった逆風のなかで中村名誉教授の福島に対する情けは完全に仇となりました。生産者のために今回の基準を緩めようという動きもあるようですが、この流れでは厳しいのではないでしょうか。


<参照>
放射線審議会:文部科学省
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