2008年02月19日

「褶曲の下の断層という考え方を初めて知った」国・電力会社の適当断層評価

 地震を起こす断層には、地表や海底に明確なずれはなく、波打つような地形(褶曲構造)しか見せないものもある。昨年7月の新潟中越沖地震の震源は、このタイプの海域断層。「こうしたものがあることは常識」と断層研究者は指摘するが、東京電力は柏崎刈羽原発(新潟県)で、この考え方を最近まで採用せず、震源断層を過小評価、国も認めていた。「最新の知見を収集している」と国や電力会社が強調してきたのは本当だったのか。中越沖地震は、原発の安全性に関する情報収集力の問題を浮き彫りにした。

 国や東電は、産業技術総合研究所活断層研究センターの岡村行信副センター長が2000年に発表した論文で、「褶曲の下の断層」という考え方を初めて知ったと主張。「岡村論文までは知られていなかった知見だ」と説明する。

 だが岡村さんは「褶曲構造の下に断層があるということだけなら、何十年前から知られていたはずだ」と指摘。論文は、褶曲地形から地下断層の形状を推定する手法を紹介したもので、断層が「ある」ことではなく、「どんな形か」を問題にしたという。

 岡村論文発表後の数年間に、北海道電力などは原発周辺の海底断層について規模が大きくなるよう見直した。東電や北陸電力も評価し直したが安全性に問題ないとして好評せず、昨年暮れにようやく、再評価していた内容を明らかにした。

 「(この考え方を)もっと早い時期に、原発の安全審査に反映させるべきだったと思う」。岡村さんは証言する。

 渡辺満久東洋大教授(地形学)は「遅くとも1970年代末以降、国内の研究者が複数の論文を発表している。80年代には常識だった」と話す。ほかの断層研究者も、海外で60年代に提唱され、80年代半ばまでには概念として確立されたと指摘。海上保安庁が80年代に作成、海底断層などを示した「沿岸の海の基本図」でも、この考え方を採用している。

 断層に関して当たり前になっていた考え方。なのに、原子力関係者だけは「知らなかった」という。奇妙な構図だ。

 国が褶曲と断層の関連に注目したのは、2000年に設置申請された北海道電力柏原発3号機の安全審査で、旧通産省が設けた専門家による顧問会(現、意見聴取会)のメンバーに岡村さんが入ったのがきっかけだった。

 北海道電力の担当者は「論文の存在は知っていたが、重要な内容とは考えていなかったので、問い合わせもしなかった。それ以前の論文の存在も知らなかった」と打ち上げる。国の審査など、原子力規制にかかわる専門家の意見や研究でなければ、たとえ一流紙に掲載された論文でも、電力側の反応は鈍くなる。

 岡村さんは、それまで断層と褶曲の関係が考慮されてこなかったことに「驚いた」と話す。ある専門家は「メンバーに、断層のことをちゃんと分かる人がいなかった」と内情を明かす。

 中田高広島工業大教授(地形学)は「国の安全審査に加わる専門家が、電力の設置許可申請書の作成を指導したケースもあった」と人選の問題を指摘。「意見を言うだけとの意識があるので、専門家は責任を取ろうとしない。無責任審査体制だ」と批判している。(共同通信)


 国と電力会社は原発の危険性について誰よりも詳しく知っているのに敢えて知らん振りしているとばかり思っていましたが、批判的データに目を背け続けた結果、本当に無知になってしまったのではないかとちょっと怖くなるこの記事。国民に嘘ばかりついていたら自分たち自身も戦況を把握できなくなった大本営のようです。

 左翼系市民団体の攻撃をいかにかわすかに腐心してきた動燃は前にプルトニウムは飲んでも大丈夫などとアホなことを言っていましたが、一流の詐欺師やカルトの教祖のように科学的根拠のない宣伝によって関係者が自己洗脳にかかってしまったのかもしれません。

 何が何でも安全と吹聴しても一般人は白けるばかり。実際に臨界事故や地震で原発が燃えている映像を見てしまうと、左翼系市民ならずとも大丈夫かいなと心配してしまいます。

 原油高とCO2削減で原子力発電にはまれに見る追い風が吹いている昨今。日本の原発には世界に誇る高性能ECCS(緊急炉心冷却装置)が付いているとはいえ、スリーマイル、チェルノブイリと原発が危険なのも間違いない事実。国や電力会社の偉い人が「最新の知見」に基づいてきちんと運用してくれなければ地元住民は安心して眠れないでしょう。


<参照>
能登半島周辺の地質構造と地震との関係 岡村行信(海溝型地震履歴研究チーム)
posted by リュウノスケ at 02:04| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする