2007年07月21日

「事実上の奴隷」外国人研修生殺人事件

 外国人研修生・技能実習生と受け入れ企業とのトラブルが各地で続発している。殺人罪などに問われた中国人研修生への判決で、千葉地裁木更津支部は制度の問題点を指摘した。賃金未払いや低賃金労働が横行し、制度の形骸化が進む。研修生からは「家畜のように働かされた」との声も。政府は制度見直しに乗り出したが、関係省庁の思惑はばらばらで、見通しは不透明だ。

 「兄弟の学費を稼ごうと日本に行ったのに、こんなことになるとは…。被害者に謝罪したい」。木更津支部判決で懲役17年を言い渡された中国人研修生、崔紅義被告(27)の支援団体が20日、東京都内で開いた集会。中国・チチハルから来日した被告の母親(51)は涙を流した。

 19日の判決によると、昨年4月に来日した崔被告は研修手当てが少ないことに不満を募らせた。同8月、研修先の農家をあっせんした県農業協会職員らが態度に問題があるとして帰国させようとした際、ナイフで刺して殺害するなどした。

 弁護側は公判で「研修とは名ばかりの“3K職場”でひたすら単純労働をさせた」と主張。

 判決も@同協会は農家に研修生を安い労働力と説明し、研修が十分に行われていたとは認めがたいA支援体制が不十分で目が行き届いていなかった―とした上で「「異国の地で徐々に追い詰められた側面も見受けられる」と指摘した。

 「低賃金で朝から晩まで家畜のように働かされた」。逃亡防止のため賃金を強制的に貯金させられ賃金未払いもあったとして、部品メーカーなどに慰謝料などを求めて名古屋地裁に提訴したベトナム人女性は主張する。同様の訴訟は青森県でも起こされている。

 発展途上国支援を目的に1993年に始まった同制度。外国から単純労働者を受け入れない代わりに導入されたとされ、安価な労働力を当て込む企業との間でトラブルが絶えない。

 研修生は労働者とみなされず給料の下限はないため、残業は禁じられているが、守られないケースが多発。労働者扱いとなる技能実習生の賃金水準も、最低限度額である最低賃金レベルにとどまるという。

 残業代不払いなど法令違反で労働基準監督署が2006年に指導した事業場数は前年比65%増の129カ所に上った。

 研修生らの相談が多い全統一労組(東京)の鳥井一平書記長は「出国時に保証金などの名目で多額の借金を背負い、受け入れ企業への絶対服従を迫られる実態は事実上の奴隷労働だ」と断じる。

 厚生労働省は5月、労働基準法などの規制が徹底されるよう制度改正を提言。これに対し経済産業省は指導・監督を強化するものの現行の枠組み維持を主張して、産業界への配慮をにじませた。

 一方、長勢甚遠法務相は単純労働者受け入れに転換する「私案」を公表。各省庁が綱引きを展開しており「調整は簡単にいきそうもない。最後は政治の判断では」(厚労省幹部)との見方も。

 実態に詳しい丹野清人首都大学東京准教授は「経営が厳しく、日本人の労働者を集められない零細企業が低賃金の労働力として活用している。人間扱いしていないような労働実態を放置しておくわけにはいかない」と話している。(共同通信)


 労働基準法に守られない状況で過酷な単純労働を強いられている外国人研修生。「事実上の奴隷」として問題になっているようです。

 小泉政権時代の最悪の景気状況が上向いた結果、当然のこととして3K職場を日本人労働者が敬遠。遠洋漁業のように外国人研修生がいなければ存続できない業種も増えてきました。だからといって現状のままにしておくと木更津事件のような悲劇が増えるだけなのでなんとかしなければいけません。

 長勢法相の「私案」が現実的だと思いますが、これだと賃金が上がってしまうんですよね。フリードマン流に言えば斜陽産業は市場から消え去るのみなのか。美しい国は世知辛いなあ。


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[タイトル] 外国人研修生殺人事件
[著者] 安田 浩一
[種類] 単行本
[発売日] 2007-02
[出版社] 七ツ森書館

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posted by リュウノスケ at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース(労働問題) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする